60年代は、高度経済成長期に突入し、メンズファッションにもさまざまなバリエーションが出てきた時代と言えます。60年代メンズファッションの中には、現在でも残っているもの、強く影響しているものも数多くあります。まず、60年代の大流行は、「アイビールック」と呼ばれるもので、その語源は、アメリカ東海岸のフットボールの名門8大学のアイビーリーグから来ています。アイビールックの特徴は、ずんどう型シルエットの3ボタンジャケットの上2つを掛け、細長いストレートなラインです。ジャケットの中には、決まってボタンダウンシャツを着用し、アイビーシャツ呼ばれていました。アイビールックの最も粋なスタイルは、その上にモッズコートと呼ばれた、カーキのミリタリーコートを羽織り、べスパに乗るというものでした。また、アイビールックを少し崩したスタイルや、「モッズスタイル」と呼ばれる長髪に船員帽を被り、水玉や花柄などの派手な柄のウエストをシェイプしたシャツ、股上の浅いスリムパンツ、幅広ネクタイ、ブーツといったメンズファッションも流行しました。さらに、60年代の終わりには、汚れたよれよれのジーンズとTシャツ、素足にサンダル、長髪に無精ひげといった「ヒッピー」や「フーテン」「サイケ」と呼ばれるスタイルも流行しました。こういったファッションを好んだ人の中には、芸術家も少なからずいましたが、社会に対する反抗的な概念、思想が表れたメンズファッションと考えられています。